2025年6月のてんびん座には、まるで少し風の強い丘を歩くような時間が用意されているようです。足元はしっかりとしているのに、ときおり吹き抜ける風に心が揺れてしまう。そんな感覚が続くかもしれません。でもその風は、あなたを試すものではなく、むしろ余分なものを吹き飛ばし、必要なものだけを手元に残してくれる力を持っています。
月初、1日から5日ごろまでは、少し立ち止まりたくなるような気分になることがありそうです。いつもは軽やかに流していたことが、ふと心に引っかかってしまったり、思い出したくない記憶に触れてしまうような場面もあるかもしれません。ただ、それは後ろに戻るのではなく、あなたの中で整理しきれていなかった思いを浄化していく流れの一部でもあります。無理に前を向こうとせず、感じたことをそのまま抱えていて大丈夫です。かたちにはならなくても、静かな癒しが進んでいます。
7日から10日ごろになると、意識が少し外へと向かっていきます。誰かと話したくなったり、何かを伝えたいという気持ちがふくらんでくるでしょう。とくにこの時期は言葉の流れが良くなるときでもあるので、会話のなかで思わぬ収穫が得られることもありそうです。ずっと気になっていたことにようやく答えが見つかるような感覚や、予期せぬ理解が生まれる場面もあるかもしれません。そのやりとりの中で、自分の気持ちがすっきりと整理されていくことに気づくでしょう。
12日から16日あたりは、少し選択を迫られるような局面があるかもしれません。どちらを選んでも間違いではないとわかっていても、だからこそ悩みが深くなるのがこの時期の特徴でもあります。ただ、てんびん座にとって「選ぶ」という行為は、本来とても誠実で美しいものです。誰かに譲ることが正しいとされがちな場面でも、今回はあなた自身の感覚を第一にしてみてください。何を選ぶかではなく、どういう気持ちで選ぶかにこそ、今月は大きな意味が宿ります。
17日から20日ごろにかけては、物事が急に前に進み始める気配が強くなります。周囲の動きも活発になり、あなた自身の中にも自然と行動力が湧いてくるでしょう。この時期は、少しだけ背伸びをしてみるのが良さそうです。苦手だと思っていたことに挑戦してみたり、気になっていた人に声をかけてみたり。思いきって一歩を踏み出すことで、これまで想像もしていなかった扉がひらくかもしれません。たとえ結果がすぐに見えなくても、動いたこと自体が何よりも価値のある一歩になります。
下旬に入ると、また少し落ち着いた空気が戻ってきます。22日から25日ごろまでは、何かを決めるというより、今の状態を味わうことがテーマとなっていくでしょう。日々のなかにあるささやかな心の動きに目を向けることで、自分が何を求めていたのかが少しずつ見えてくるはずです。ここまで積み重ねてきたものをいったん整理し、自分にとって本当に必要なものを見極める時間として過ごしてみてください。
そして月末、27日から30日にかけては、少し未来の気配を感じるような兆しが訪れそうです。遠くにいた誰かの存在がふと近づいてきたり、偶然のようで必然だったような出来事が起きることもありそうです。急にすべてが動き出すわけではありませんが、このタイミングで心に残る言葉や出会いがあれば、それはこれからの道のヒントとなってくれるかもしれません。
6月という時間は、てんびん座のあなたにとって、決して派手ではないけれどとても深みのある流れになるでしょう。たくさんの選択肢の中で自分にとって心地よいものを選び取ること。他人の期待や雰囲気に流されず、自分の声にそっと耳を傾けること。そんなささやかな積み重ねが、確かな未来を形づくっていくはずです。
また今月は、感情の波に身体が影響を受けやすい時でもあるため、気持ちが不安定なときには無理に動かず、深呼吸を意識して過ごすのがおすすめです。特に朝の時間を丁寧に使うことで、1日の心の流れが大きく変わってくるかもしれません。ゆっくり起きて、お気に入りの飲み物を準備して、自分の時間を味わうような朝がもたらす穏やかさは、思っている以上に力強い支えとなってくれるでしょう。
「心地よさ」は贅沢ではなく、てんびん座にとっての生きるためのバランスそのものです。誰かのために動くことも、予定を優先することも時には大切だけれど、今月はその前に、自分の感覚を信じてみてください。焦らずにひとつずつ確かめながら進んでいけば、きっとあなたのなかに、静かで揺るがない答えが育っていきます。空が変わるのを待つのではなく、空の下で風を感じることを選ぶ。そんなあなたの在り方が、6月の景色を美しく彩っていくでしょう。
