たとえば遠くで芽吹いたばかりの若葉が風にそよぐように、心の奥に静かに動き始めるものがあります。それはまだ目には見えず、言葉にするには曖昧すぎて、けれど確かにそこに在るもの。やぎ座のあなたがこの5月に感じ取るのは、そういった「かすかな予感」かもしれません。大きな変化の予兆というよりも、日常のなかに紛れ込んだほんの些細な揺れが、自分にとって何を意味するのかをじっと見つめる時間になるでしょう。
5月前半、特に6日から12日あたりは、身の回りの雑音が少し遠のき、自分の内側に耳を澄ませやすい時期となります。これまで忙しさのなかで後回しにしてきたことや、見て見ぬふりをしていたことに、そっと意識が向かうかもしれません。たとえばそれは、思い出したくない誰かとのやりとりであったり、自分自身への問いかけだったりします。そこに向き合うには勇気がいるけれど、今月のやぎ座には、ひとつの覚悟が育ちつつあるのです。
一方で外側の世界は少しずつあなたの背中を押し始めています。15日以降になると、今まで停滞していた物事に小さな動きが見え始め、手応えを感じる場面が増えてくるでしょう。それは仕事の中かもしれませんし、誰かとの対話を通してふいに訪れる「なるほど」と腑に落ちる瞬間かもしれません。少し先のことまで考えすぎず、いま目の前にあることに集中する姿勢が、次の扉を開く鍵になります。
またこの時期、少し意識を向けておきたいのは「ゆるす」というテーマです。他人に対してだけでなく、自分自身に対しても。たとえば過去の選択を悔やんだり、もう少しうまくやれたのではと反省したり、そういった思考のクセが強く出やすい時です。特に5月20日ごろ、何かの折にふと、自分を厳しく見てしまう瞬間があるかもしれません。けれど今月は、それらを責めるのではなく、そっと撫でるような眼差しを持つことが求められています。うまくいかない日も、思い通りに動けない時間も、すべての経験があなたを今の位置まで運んできてくれたのです。
今月のやぎ座には「誠実さ」が静かに輝いています。その誠実さは、派手さとは無縁ですが、深く誰かの心に届きます。たとえば、5月下旬にはあなたの言葉や態度が、誰かにとって大きな意味を持つことになりそうです。何気ないやりとりの中で、気づかぬうちに誰かの支えとなっている。そうした出来事が、あとになって静かに胸に残るでしょう。
健康面では、今月前半のうちに生活リズムを整えておくことが鍵になります。連休明けの5月7日から10日ごろにかけては、体が重く感じられたり、寝つきが浅くなったりと、微細な変化が出やすい時期です。無理に動こうとせず、身体の声に耳を傾けてあげてください。特別なことをする必要はありません。食事の時間を整えることや、湯船につかる時間を長めにとることだけでも、ずいぶんと違ってくるはずです。
感情の面では、月末にかけて穏やかさが戻ってくる気配があります。26日以降、周囲との関係性にあたたかな空気が流れ始め、ふとしたやりとりの中に安心感を見出す場面が増えてきます。そこでの「ほっとする感覚」は、今月のあなたが必要としていたものかもしれません。忙しさのなかにあっても、心がやわらかくなれる時間を意識的に持つようにしてみてください。
ひとつの出来事がすべてを変えるというよりは、小さな変化の積み重ねが、あなたを未来へと導いていく月。それがこの5月のやぎ座の姿です。力む必要はなく、頑張ろうとしすぎなくて大丈夫です。静けさのなかにある声に、そっと耳を澄ませてみてください。それだけで、あなたの歩む先は確かに光を帯びていきます。
見上げた空に雲が流れていくように、どんなときも時間はやさしく動いています。焦らず、あわてず、でも立ち止まることなく。自分だけのリズムで進んでいけば、心は自然と晴れていきます。今月のあなたは、そのままでも十分すぎるほど、美しい歩みを見せているのです。
