何かが始まるときには、はっきりとした音が鳴るわけではありません。静かに揺れる空気や、胸の奥にひっそり広がる予感のようなものが先にやって来る。今月のうお座には、そうした「音のしない始まり」が、何度も訪れそうです。表向きは変わらないように見える毎日の中に、言葉にならない変化の気配が漂っています。焦らず、急がず、その気配と丁寧に関わっていけるかどうか。それがこの7月を豊かな時間にしていく鍵となるでしょう。
月の始まりは、意識の水面がとても繊細です。1日から3日あたりは、過去に経験した出来事がふとした拍子に浮かび上がってきたり、心に引っかかっていた感情に触れたりすることがあるかもしれません。懐かしさや後悔、喜びや寂しさ。それらが入り混じって揺れるとき、無理に整理しようとせず、そのままのかたちで抱えていていいのです。むしろかたちにできない感情ほど、今のあなたにとって大切な意味を持っています。
少しずつ気持ちが外へ向かい始めるのは7日を過ぎたころから。まわりの人の言葉や仕草が、自分自身の心の中を照らし出す鏡のように働いてくるかもしれません。とくに10日から13日ごろまでは、誰かの存在があなたにとっての転機のきっかけになる可能性もありそうです。それは新しい出会いかもしれませんし、今までとは違う角度で人と向き合うことになる場合もあるでしょう。どちらにしても、その関係性の中には心を柔らかく溶かすような優しさが流れています。
中旬、15日から18日にかけては、内面の整頓とでも呼ぶべき時間が訪れそうです。周囲の声に耳を傾けながらも、自分が本当に望んでいることは何か、そっと問い直すような場面が増えていきます。「自分らしくある」ということが、どういうことなのか。簡単なようで、実はとても奥深いこのテーマが、今のうお座にそっと寄り添い始めているのです。この時期には、一人で静かに過ごす時間も大切にしたいところ。音楽や自然、あるいは美しいものに触れることで、心の芯にある本音が浮かび上がってくるでしょう。
19日から21日ごろは、周囲とのつながりに揺らぎが出やすいタイミング。誰かと自分の距離感をどう保つか、相手のためにどこまで動くべきか、自分をどれだけ優先してもいいのか。そうした問いが心の中で反響するようです。けれどここで忘れないでほしいのは、あなたの優しさは誰かを救うものであると同時に、自分自身を癒す力にもなるということ。どちらかだけではバランスが崩れてしまうから、自分の感情にも手を差し伸べてあげてください。
月の後半、23日からは少しずつ「整ってきた感覚」が芽生えてきます。特別な出来事があるわけではなくても、日常の中にふと安心感が差し込んでくるような、そんな静かな変化があるかもしれません。新しい予定を立てたくなったり、小さな挑戦に心が動いたり。そうした前向きな気配は、これまでの揺らぎを通ってきたうお座だからこそ感じられるものなのだと思います。無理に自分を奮い立たせる必要はありません。自然に湧き上がってきた気持ちをそのまま受け取ること、それだけで十分です。
27日から月末にかけては、自分を表現することに対して意識が高まりやすくなります。人前に出ることが多くなる人もいれば、作品や言葉などで内面を形にするような流れに乗る人もいるでしょう。いずれの場合も、うお座ならではの感受性がそのまま魅力となって、まわりに穏やかな波紋を広げていきます。たとえば、誰かの心にそっと触れるような発言や、静かな気遣いのあるふるまいが、思いがけず大きな影響を与えることもあるかもしれません。
この時期には、過去に諦めかけていたことが再び浮上してくる可能性もあります。夢や計画、人間関係など、いったん棚上げにしていたことが、ふとした拍子に息を吹き返すようなイメージです。ただし今回は以前とは違い、「無理に叶えよう」とするのではなく、「そのままでもいい」と思えるようになっているはず。そう思えるようになった自分の変化を、どうかそっと肯定してあげてください。
目立つ成果や華やかな展開ではないかもしれません。けれどこの7月は、うお座にとってとても滋養のある時間になっていきます。言葉にしきれない感情を、誰かと分かち合うこともあれば、自分の中だけで深く温めることもあるでしょう。どちらにしても、今この瞬間を丁寧に感じることが、未来への橋をかけていくのです。
ほんのわずかな心の変化も見逃さずに、やわらかく、しなやかに。そのように歩いていく先には、きっと静かで豊かな景色が広がっていくはずです。